2021年8月14日土曜日

「稚魚コーナー」の話題あれこれ

研修で標津サーモン科学館にお世話になっています、高校教員の飯田と申します。生徒が夏休みの間に、私も勉強させていただいております。

このたび、館内「稚魚コーナー」で生活していたカットスロートトラウトとニジマスが、「川の広場(餌やりコーナー)」へとお引越ししました。空いた「稚魚コーナー」の水槽には新しい個体もお目見えしたので、ぜひご覧になってください。

カットスロートトラウト(左)・ニジマス(右)


― サケ科稚魚とパーマークの話 ―

海に降る多くのサケの仲間の稚魚には「パーマーク(parr mark)」と呼ばれる、楕円形の模様が体側にあります。海に降りる準備を始めるとパーマークが消失し、体色が銀色へ、背ビレや尾ビレの先端が黒色へ変化します。この変化をスモルト化(銀毛化)と呼びます。スモルト化した稚魚は、塩分が3%以上にもなる海水に適応するため、エラ(にある塩類細胞)などの働きを調節していきます。無事にスモルト化して海へ降りていき、数年後にはさらに大きく成長して戻ってくる、といった生活史となるわけです。

というわけで、「パーマークがある個体は、河川で生活している段階の稚魚」ということになります。

しかし、サケ科の中でも種によって生活史も様々であり、浮上直後からパーマークが出ない種や、スモルト化しても海に降りないものもいます。また、ヤマメ・アマゴなどはパーマークを持ったまま成熟するので「パーマークがある個体は稚魚」とは言い切れません。一見似たような容姿をしている「稚魚コーナー」のメンバーですが、よく見比べていくと、サケ科魚類の多様な暮らしぶりを垣間見ることができるかもしれませんね。

↓↓↓

― 北米原産のサケの話 ―

ところで、日本ではなじみの薄いカットスロートトラウトですが、近縁種であるニジマスと同様、北米原産のサケ科Oncorhynchus属の魚類です。両種とも体には細かい黒点が散りばめられ、カットスロート(cut throat)トラウトはその名の通り、のど元に切れ込みのような赤い模様が入っています。ニジマスも「虹色・赤色」の帯が体側に出てきますし(英名でもレインボートラウト)、近縁種にはゴールデントラウト(金色!)が存在するなど、北米のサケたちは派手な色が魅力ですね。(ちなみに私の服装は白黒灰色が多いです)

「稚魚コーナー」に展示されている魚種では、ブルックトラウト(カワマス)とレイクトラウトも北米出身のサケの仲間です。こちらはサケ科Salvelinus 属の魚類で、イワナの仲間です。レイクトラウトの頭の形や、ブルックトラウトの模様にも注目して、観察してみてください。

レイクトラウト稚魚 ↑

ブルックトラウト稚魚 ↑

水槽飼育だと、背景や底面の色の影響を受けるのか体色が淡くなるようですが、それも水族館飼育ならでは。ネイティブとは少し違った彼らをお楽しみください。

(AS高校教員:飯田)

__

標津サーモン科学館のFacebookTwitterも ロシクネッ♪ 

__

0 件のコメント:

コメントを投稿