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これまで別の種類だと考えられていたコンペイトウ、コブフウセンウオ、ナメフウセンウオがそれぞれ同じ種類のメス(コンペイトウ)とオス(コブフウセンウオ、ナメフウセンウオ)だったことが判明したそうです。
この研究成果により、80年以上もの間、別の種類と考えられていた3種の魚が同じ種類だったことが明らかになりました。
別の種類と考えられていた魚が、同じ種類の雌雄だったなんて、たいへん興味深いですね。
そう言えば、2009年にはリボンイワシ科、ソコクジラウオ科、クジラウオ科の魚がそれぞれ同じ種類の稚魚、オス、メスだったことがニュースになりました。それまでは、リボンイワシ科の魚には成熟した大人が見つからず、ソコクジラウオ科は雄ばかり、クジラウオ科は雌ばかりしか見つかっていなかったそうです。
それぞれが同じ種の欠けている部分だったのですね。
硬骨魚類は世界に25000種類以上いると言われていますが、その一生や飼育方法が分かっているのは、サケ科魚類を含めてほんの一握り。
まだまだ分からないことだらけです。
そんな新しい発見があったダンゴウオ科と言えば・・・、
サーモン科学館のフウセンウオが産卵しました!
残念ながら、この卵は未受精卵ですので、稚魚が誕生することはありません。
このフウセンウオは昨年の夏にサーモン科学館に他の仲間とともにやってきましたが、今は1尾だけになってしまいました。フウセンウオを専門に調べている方にお聞きしたところ、フウセンウオはたいへん縄張り争いが強く、すぐに喧嘩をしてしまうため、飼育するときは隠れ家になるシェルターをたくさん作らないといけないそうです。
産卵期シーズンになると、メスはオスの縄張りを順番に訪れて、オスが縄張りにしている巻き貝の穴の中に卵を産み付けます。その時に卵は受精して、オスはその卵が孵る前で卵を守って暮らすそうです。
今回、フウセンウオが産卵した水槽にはオスがいませんので、残念ながら稚魚が誕生することはありませんが、鮮やかなオレンジ色の美しい卵なので、少しの間、展示しております。
ご覧になりたい方はお早めにサーモン科学館へお越し下さい。
今回産卵したフウセンウオのお母さんは始めはオキアミしか食べませんでしたが、スタッフで協力して色々と工夫をした結果、市販の配合飼料を食べるようになり、12月の冬季休館シーズンにはカロリーが豊富な配合飼料を食べて丸々と太っていました。
ところが、2月の初め頃から、相変わらず餌にはとても興味を示すものの、目の前に来た餌だけを食べて、水槽の端に落ちている餌を追いかけていって食べることはしなくなりました。
一方、1月の終わり頃のことですが、サーモン科学館は館内の改装が行われており、フウセンウオの水槽が入っている冷蔵庫を少しだけ移動させました。その時に冷蔵庫の温度調節が少しずれたようで、普段7℃前後に調節していた水槽の水温が1℃まで下がっていました。
すぐにもとの水温に戻したのですが、多くの魚で水温の変化が産卵行動の引き金になるという報告もあります。もしかしたら水温の変化が、フウセンウオの産卵のきっかけになったのかもしれません。
その他にも、フウセンウオ水槽の展示面は魚道水槽に 向かっていて、フウセンウオは外の光を感じることができます。もしかしたら、明るい時間が長くなってきたことを感じたのが産卵のきっかけになったのかもしれません。
あくまで可能性の話ですが、手に入れられるだけの情報の全てを、しっかり記録しておこうと思います。
産卵後のお母さん
現在、フウセンウオのお母さんは卵を産んだ後は体が軽くなったのか、元気よく餌を追いかけ回ってお腹いっぱい餌を食べています。
魚の一生は、まだまだ分からないことだらけ。これからも、サーモン科学館にやってきたお魚たちを一生懸命観察して、少しでも役立つ情報を見つけていけるよう努力していきます。
いつか、可愛いフウセンウオの赤ちゃんを展示できたらいいなと思います。
(M.O.)
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