2018年4月16日月曜日

バトンタッチ

当館には多くの生体展示水槽がありますが,相手は生き物ですから,どうしても死んでしまう魚もいます。そういった魚の死骸の回収も,職員の日常業務の1つです。

基本的に朝の開館前にその作業を行いますが,開館中も他の業務の合間を縫って,死骸がないかチェックしています。



今日の昼前,「海水大水槽」をチェックすると,



水槽の底に横たわっているサクラマスを見つけました。昨年の春か夏に標津の前浜で捕獲・搬入され,そこから今春まで唯一生き残っていたサクラマス(雄)のようです。

早速,回収してみると,やはりそうでした。



ちなみに体長(尾叉長)は39.6㎝でした。

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上の写真にあるように吻(鼻先)が伸長していますが,これはサケ科魚類全般でみられる雄の二次性徴の1つですね。
念のため,開腹して生殖腺をチェックするとやはり雄で,少し前まで餌は食べていた様子でしたが空胃でした。

降海型のサクラマス親魚は秋の繁殖後,死亡する1回繁殖性の魚です。つまり野外では繁殖後,冬を越す降海型サクラマスはいないとされているのですが,当館の「海水大水槽」に搬入したサクラマスは,秋を過ぎてもしばらく生きていることがあります。
ですが,多くは正月前に死んでしまうので,この雄のサクラマスはよく春まで生きたといっていいでしょう。

今月から,海水大水槽では標津の前浜で獲れた「新入り」のサクラマスの展示が始まりました。


「新入り」のサクラマス

もちろん偶然でしょうが,先ほど眠りついたサクラマスは,まるで新入りたちに生体展示の仕事をバトンタッチしたかのようでした。

 (地域おこし協力隊サーモン科学館支援員:T. T.)

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