2019年11月3日日曜日

忠類川の河原から



産卵間近のメスの周りで、オスたちが戦い合っている。
背ビレが出るような浅瀬で、時に水しぶきをあげながら。

ボロボロになった1尾のメスが、ゆっくりと上流を目指し泳いでいく。
尾ビレは擦り切れ、全身は白く水カビに覆われている。



おそらく、産卵後体力が衰え、
産卵床から流されてしまったのだろう。
自分が産んだ卵たちを守るため、
自分の産卵床を目指して泳ぐ。

↓↓↓

自分の産卵場所をキープしているメスの近くを通ってしまい、
激しく追い立てられる。
流心に追いやられてしまい、また少し下流へ流されてしまう。
それでも、また上流を目指し、泳いでいく。



川岸の流れの緩い箇所を選びながら、ゆっくりと泳いでいく。

はたして自分の産卵床までたどり着けるのか。
残り僅かな体力で、その場所を目指し、
その体力が尽きるまで、自分が産んだ卵を守るため、
彼女はゆっくりと泳いでいく。


その川岸には、力尽きた亡骸が横たわっている。

それは彼女の目に入っているのか。
そう遠くない未来に待つ自分の姿を捉えているのか。



それがすぐ先の未来に起こることであっても、
彼女が今の刹那目指すのは、自分の産卵床でしかない。

・・・

また水しぶきが立った。
オス同士の次世代をかけた戦い。
もうすぐ産卵の瞬間を迎えるだろう。



生と死、そして新たな生命を宿す性が錯綜する
サケたちのふるさと。



※※ 野暮ながら説明 ※※
シロザケのメスは、1腹の卵を3~5回に分けて産卵します。
産卵後、他のメスに掘り返されてしまわぬよう、その場所にとどまって、近づくメスを排除します。
遡上したサケたちはエサをとらず、それまでの海の暮らしで蓄えたエネルギーで生きています。そのエネルギーがなくなった時、その一生が終わります。

(T.N.)
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千歳・豊平・標津「サケ3館制覇・フォトラリー」、皆様の挑戦をお待ちしております!
*現時点での制覇者11名様です!!

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☆11月は水曜日が休館日となります。
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