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2014年11月18日火曜日

ぐるぐる回る




 師走も近づいてきた今日この頃。ぐっと気温も下がり、朝晩、水たまりが凍るようになりました。
 サーモン科学館の一角にも、外気が入ってきて肌寒く感じる場所があります。







 川の広場のスロープを上がりきった角に、順路とは違う右方向へと続く通路があります。この通路は建物の外へとつながっているのですが、その奥へと進んでいくと・・・






 ぐるぐる回るサケ捕獲用水車を見学することができます。
 標津サーモン科学館の水車の直径は4m、稼働しているサケ捕獲用水車では日本最大級の水車です。
 現在、標津サーモン科学館では常時水車がぐるぐる回っており、時折サケが捕獲される様子がご覧いただけます。今季の稼働は残り少なくなりましたので、是非、お見逃し無く!



 そして館内には、サケ捕獲用水車の他にもぐるぐる回っているのがありまして・・・










 クラゲコーナーのクラゲたちです。
 現在、4つの水槽が展示されていますが、そのうちの3つの水槽でクラゲが水槽内をぐるぐる回っています。

 一般に、クラゲを飼育するためには水槽の中にある程度水の流れを作る必要がありますが、この水流の確保がたいへん難しいのです。
 例えば、水流が強すぎると水槽の中が洗濯機のようになってしまい、デリケートなクラゲ達は傘が破れてしまいます。逆に水流が弱いとクラゲ達は泳ぐことができなくなり、弱って死んでしまうのです。
 一般にはエアーポンプを使う方法が知られていますが、傘の中に気泡が入ってしまうとクラゲが死んでしまうこともあります。市販されている熱帯魚用のポンプで水流を作る方法もありますが、ポンプの吸水口にクラゲが吸い込まれてしまうことがあります。
 そんな八方塞がりに思えるクラゲ飼育ですが、スタッフ一同、常に試行錯誤しながらクラゲを展示をしています。



「アカクラゲ水槽」



 細くて長い触手が特徴的なアカクラゲは、縦長の水槽で海水をぐるぐる回して、触手が流れに漂って長~く伸びる様子を観察していただけるように工夫しています。この水槽には普段目隠ししている部分に工夫があって・・・







 水槽の上部に吸盤を使ってガラス板を斜めに取り付けています。そして深くなっている部分に所謂「亀フィルター」を取り付けて、下向きに水流を噴出させています。
 こうすることで、水槽側面とガラス板の隙間から下向きの水流を出すことができ、水槽内に反時計回りに水の流れを発生させています。
 ガラス板は吸盤で支えているだけですので、板の周囲と水槽の間には隙間があり、下部へ噴出された海水はこの隙間から水槽の上部へ戻ることができます。

 そして、この水槽の最大の工夫が・・・






 ガラス板の上部と水面の間を1cmくらいに調節していることなんです。
 ガラス板の他の3辺よりも隙間を広めに作っていてるので、フィルターの方向へ戻る水の流れが比較的緩やかになっています。そのお陰で、アカクラゲの長い触手がフィルターに吸い込まれることがありません。さらに1cmという微妙な隙間の広さが、自力で遊泳する能力が強いアカクラゲの傘がフィルター方向へ吸い込まれることをブロックしています。

 これらの工夫が偶然にも上手く作用してくれたお陰で、ぐるぐる回るアカクラゲが展示できているのです。



「標津のクラゲ水槽」



 冷蔵庫の中にある「標津のクラゲ水槽」には、小さな赤いベニクラゲの他、足が伸び縮みする不思議なウラシマクラゲ、ふさふさの触手を持つキタカミクラゲなどがぐるぐる回っています。
 みんな可愛らしいクラゲなので、まるでキャンディがたくさん入った「お菓子箱」みたいな水槽です。






 この水槽のクラゲたちは、アカクラゲに比べてとても小さく、アカクラゲ水槽と同じ工夫では飼育することができません。そこで、水槽の中に透明でたくさん穴の開いた板を設置して、その向こう側に「亀フィルター」を設置しています。
 フィルターの出口からは海水を下向きに噴出させて、水槽の中に反時計回りの水の流れを作っているのですが、穴の開いた透明の板を設置することでフィルターに戻る水の流れが分散され、小さなクラゲがフィルター側に吸い込まれることなく、ぐるぐる回り続けることができるようになりました。



「クシクラゲ水槽」



 クシクラゲは水中を「漂う」際に体の周囲の筋が虹色に光っているように見える不思議なクラゲですが、たいへん展示が難しいクラゲです。
 その神秘的な姿のせいか、非常に柔らかく壊れやすい体をしており、その他の水槽と同じ工夫ではすぐに体がバラバラになってしまうのです。






 クシクラゲの水槽では、他のクラゲ水槽と同じように透明フィルムで円を作りつつ、その上部を「亀フィルター」から伸びているパイプの重さを利用して水面に押しつけています。そして、透明フィルムの先端を手前側の一部分だけ水中に沈めてフィルターへと戻る水の通り道を確保しつつ、その通り道にクラゲが入り込まないようにパイプで防ぐという工夫をしています。
 その結果、クシクラゲはどこにも引っ掛からずに、水槽の中をゆったりとぐるぐる回ってくれるようになりました。






 この3つの水槽の他にも、クラゲコーナーには常に逆さまのクラゲ・・・その名も「サカサクラゲ」が展示されています。
 サカサクラゲは体の下側に褐虫藻という光合成をする生物を共生させています。そして触手でプランクトンも捕まえて食べています。そういう生活をしていると・・・

「逆さまのままで暮らした方が楽じゃん」

 と、思ったかどうかは分かりませんが、生涯のほとんどを逆さまの姿で過ごす不思議なクラゲです。

 どの水槽も、スタッフ一同が試行錯誤しながら一生懸命に面倒をみている大切な水槽です。
 年内は残すところ半月足らずの開館ですが、是非、開館中にクラゲコーナーをご覧下さい。



<おまけ>






 生きている餌しか食べない野生のお魚のために、バックヤードでストックしているイサザアミです。
 こちらも水質管理が便利なように、水槽の中の海水がぐるぐる回るようにデザインしているのですが、その流れに合わせてイサザアミもぐるぐる回っています。






 アップで見ると、テレビの自然番組を見ているようで、時々見とれてしまいます。



(M.O.)

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