ある日の夕刻・・・、
館内「魚道水槽」では、作業するスタッフの姿が展示されていました(笑)
「砂場で遊んでいる子供」のようにしか見えないかと思いますが、「卵の回収」というれっきとした重要作業なのです!
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11月の「魚道水槽」では、「シロザケの産卵行動」を展示しています。
水槽内にサケが産卵できる環境を整え、目の前で産卵する様子をご覧いただくわけですが、
【シロザケの産卵】
「産み終わった卵はどうするんですか?」
よくいただく質問です。
1尾のメスザケは、お腹の卵を3~5回に分けて産卵します。
お腹の卵を産み切ったと判断したメスは入れ替えますが、そのままだと新たなメスが「前のメスが産卵した卵」を掘り返してしまうことになります。
水槽内の底面に敷き詰めた砂利の下には、パイプを配管しており、砂利の下から水が湧きだす「湧水スポット」を仕掛けてあります。
メスはこの湧水を探り当て、その周辺に産卵することが多いのです。
「湧水スポット」は「右・左」と2か所に埋設してあり、どちらか片方から水を湧かせることで、少なくともメス2尾分の産卵床が重ならないようにしています。
そして、ある程度全面に産卵したところで、サケと水を抜いて、「卵の回収」の作業となります。
メスは、産卵した箇所に周辺の砂利をかけ、小山のように仕上げます。
私たちは、サケがしていたのと逆の手順で卵を探り当てていくわけで、
【小山になっている砂利をよけて、産卵ポイントの中心となる小石を見つけると、その小石の下に卵がまとまっている】
という理屈ではあるんですが!
が!!
そのようにきれいに産んでくれていないことも多々あり、
掘っても掘っても卵が出てこなかったり、
一帯の砂利の中にバラバラと散在していたり、
と苦労させられます。
見つけた卵は、手で扇いで水流に乗せて網の中へ入れていきます。
この作業を体験すると、一連の「産卵行動」の一つ一つが理解できますし、メスザケの苦労が分かる気がします。
サケたちにとって卵は、己の一生をかけた終着点であり、次世代の息吹でもあります。
卵が他の動物たちに食べられてしまわないよう、春に稚魚になって泳ぎ出すまで健やかに育てるよう、しっかりと「産卵床」を作っているのです。誰に教えられるわけでもなく。
回収した卵は、来春の旅立ちの時まで、バックヤードで飼育していきます。
(T.N.)
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