この所、標津川水系支流上流部へ出掛けています。
川通しで歩きながら、
サクラマスの産卵床をチェックしていきます。
歩きやすいとはいえない川歩き、
それなりの距離を調査しなければならないので、
「疲れない」といえばウソになりますが、
やはりフィールドに出るのは、気持ちのいいものですw
*画像赤丸内が産卵床
サクラマスの産卵も他のサケ科魚類と同様に、
メスが川底の砂利を掘ってくぼみを作り、
そのくぼみに産卵後、上流側から砂利を被せ、
こんもりとした小山に仕上げます。
川底の石には苔類が付いて
表面が茶色くなっているのですが、
産卵後、さほど時間が経っていなければ、
産卵床を形成する石には苔が付いていないので、
周囲の石と比べて明るい色(石本来の色)をしています。
それを目安として見て回ります。
秋産卵のサケ科魚類では、
一番早く産卵期を迎えるサクラマス。
産卵期の終盤を迎えているようで、
目に付く親魚の姿はまばらでした。
*赤丸部分にサクラマス(オス)
↓↓↓
どのサクラマスも、
海から上流部へ遡上する間に苦労して来ているのでしょうし、
産卵の際の争いの痕もあるのでしょう、
あちこち傷だらけの姿・・・。
(前掲画像のオスも、背中部分に白く変色した傷痕が目立ちました)
そして、生きている親魚よりも目立つのが、
その死体・・・
サクラマス(オス)
一度降海したサクラマスは、
1シーズンの産卵期を終えると、斃死します。
(降海せず川に残ったヤマメは生き残ります)
子孫を残すという最大の使命を全うした彼らの亡骸は、
彼らの生の終焉であると同時に、
次世代の生命の幕開けであるといえるでしょう。
サクラマス(メス)
卵を産むため、産んだ卵を守るため、
繰り返し川底の砂利を掘り返すメス。
その際に使う尾ビレ周辺は、
擦り切れ、骨や筋だけとなり、
痛々しい姿になって、その一生を終えます。
来年の春、川底から泳ぎ出してきた稚魚たちは、
そんな親魚たちの苦労を知る由もないのでしょうが、
その稚魚の中で、無事またここに戻ってきたものたちは、
その姿を見ることもなかった親魚と同じように、
ここに子孫を残し、
ここに生命尽きていくことになる。
それが彼らが選んできた生き様なのです。
(T.N.)
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