2012年10月23日火曜日

魚の泳ぐ速さって?

小学生向けのレクチャーを行う時、よくある質問の一つに

☆サケはどれくらいの速さで泳ぐことができるのですか?

というのがあります。
結構、単純な質問なんですけど、事前の準備がないと
なかなか正確に答えるのが難しい質問でもあります。

以下、少々ややこしい話になって恐縮ですが、お付き合いくださいw


魚は自分の身に危険が迫ったときやエサを食べるときは
数秒程度なら、ふだんよりも瞬間的に速く泳ぐことができます。
これを専門用語で瞬発遊泳速度(英語ではburst swimming speed)といいます。
例えば、我々も50m走なら全力で走れますよね。

これに対して、安定して長い時間泳ぎ続けられる速さを巡航速度(crusing speed)といい、
例えると人間がマラソンを走るのに似ている気がします。
どちらの速度もおおむね魚の体長に比例し、大きな魚ほど速く泳げます。

ちなみに、
シロザケ稚魚の瞬発遊泳速度は
体長(尾叉長)30mmの稚魚で時速2.1km
体長50mmで毎秒77cmで時速2.7km

体長70cmのシロザケ親魚の瞬発遊泳速度は時速25.2kmほど。
(※ただし、水温によっても変化し、高水温ほど代謝があがり、遊泳速度も増加しますが、
20度を超えると活性、遊泳速度も減少する傾向がみられます。)
また、魚種や水温条件、魚の健康条件によっても変わります。

これに対して、水泳で北京五輪7冠を達成した人類最速といわれるマイケル・フェルプス
選手は100mを時速6.8km(バタフライ)で泳ぎます。
サケの親ほどは速くないけどサケ稚魚よりは速いといったところでしょうか。

ちなみに、サケの仲間の泳ぐ速さはおおむね次式で表すことができ、

瞬発遊泳速度=10×体長(サケ科では尾叉長)m(秒速)
巡航速度=2~4×体長(サケ科では尾叉長)m(秒速)

で表すことができるとされています。

ちなみにクロマグロの瞬発遊泳速度は時速72kmほどで、
カジキなどと並び魚類最速といわれます。

子供たちの何気ない素朴な質問に、上記のことを「わかりやすく・簡潔に・誤解がないように」答えるのは、毎回悩まされます・・・。

                                                       (K.N.)

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